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「無職」の素晴らしさは、断食に例えるとわかりやすい。

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つい先日、ぼくは3日間の断食をした。

 

最低限の水分だけを摂取して、31年間不眠不休だった胃腸を休めた。

 

期間中は五感が驚くほど敏感になり、ミキサーで作った生野菜スムージーは子どもの頃芝生で遊んだ時にこびりついた雑草の汁の香りがした。

 

断食後に食べたお粥は今までに食べたどのお米よりも甘く、初めてお米を食べた昔の人はこんな味がしたのかなぁと思いを馳せた。

 

でも、これは五感が敏感になったわけではない。

 

もともと備わっていた感覚が「元に戻った」だけなのだ。

 

子どもの頃は誰もがもっている敏感な五感は、現代社会のめまぐるしい情報量に冒されてあっという間に鈍らされてしまう。

 

都会のけたたましい騒音にも慣れ、殺人事件のニュースを見てもさほど驚かなくなり、濃い味付けのものでないと満足できなくなる。

 

そのような「情報の過剰摂取」に陥った五感を痛快にリセットできる装置。

 

それが断食の本質なんだなぁと思った。

 

「ちょっと無職してくるわ」な20代

ぼくの20代の職歴は、

・沖縄移住

・10回以上の転職

・最短40分間のバイト

これらの要素で構成されているため、とても規定の履歴書1枚で表現することができない。

 

「好きな人を作ってから別れる」タイプでもないので、職場を辞めるたびに「無職」という名の空白期間が生まれ、その都度いろんなところへ旅に出た。

 

無職の分際で出かける旅は素晴らしい。

 

知らない土地の空気や食べ物がダイレクトに五感を刺激するし、旅先で出会う人達が持つ「自分とは違った価値観」がスッと肌に染み入ってくる。

 

直感で「いいな」「苦手だな」と思うことを敏感に感じ取れるようになって、自分の本当に好きなものにピントが合ってくる。

 

旅の終盤に「来週のTodoリスト」を予習する必要もない。

 

きっと、無職の時は、あらゆる刺激を受け取るキャパシティに余裕があるのだろう。

 

25歳、社長、世界一周。

一方で、ぼくががんじがらめ状態で出かけた唯一の旅がある。

 

25歳の時に、株式会社の代表取締役という肩書きで出かけた4ヶ月の世界一周だ。

 

表向きにはカッコイイ響きだが、実際は「社団法人の会長のカバン持ち時代に、無理を押し通して行かせてもらった旅」である。

 

この世で一番怖かった会長のクサリが外れて解放されたと思ったら・・・

 

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クサリが長くなっただけだった。

 

過去に行ったどの旅よりも遠くへ来ているはずなのに、メキシコのビーチでテキーラを飲んでいる時も、クスコの広場で日向ぼっこしている時も、頭の片隅には常に会長がいた。

 

新しい刺激をダイレクトに受け取る余裕はなく、自分とは全く違った生き方をしている人に出会っても、どこかで自分の肩書きを正当化する力が働いてしまった。

 

まるで「お腹がいっぱいなのに焼肉食べ放題に来てしまった」ようで、美味しいものを素直に美味しいと感動することができなくなってしまったのだ。

 

無職ほどクリエイティブな職業はない

日本人はとかく「空白期間」を嫌う。

 

職場の愚痴が会話の大半を占める頃には、水面下で転職活動を行っている。

 

ようやく退職したと思ったら、間髪入れずに次の職場へ通い始める。

 

「無職」という空白を作らずにせっせと納税したところで、喜ぶのは政府と考えが古い両親だけだ。

 

不眠不休で働いていたぼくの胃腸が休息を欲していたように、あなたの心も、一度カラになってクリエイティブになることを欲しているに違いない。

 

自分が本当に好きなものを探すために必要なのは「自分探しの旅」以前に、「五感の刺激を敏感に受け取るキャパシティ」なのだ。

 

空白期間のない機械的な転職は、1ヶ月後の自分の生活は保障してくれるが、10年後に自分がワクワクすることだけを仕事にしている生活は保障してくれないだろう。

 

 夜中3時のラーメンを食うために

ぼくが定期的に断食を実践しようと決心した理由は、仙人のように生涯にわたって節度のある生活を送りたかったからではない。

 

むしろ、夜中3時のラーメンを後ろめたさゼロで食べたいし、死ぬまで世界中の美味しいグルメを堪能したいと思っている。

 

ぼくの断食は、そんな食生活をしてもへっちゃらな健康体を作るための「積極的断食」なのだ。

 

(月イチで歯医者に通って歯石除去する理由も同じだ)

 

これから人生はもっと長くなる。

 

平成生まれの平均寿命は102歳前後というデータもある。

 

そんな長い人生のうち2〜3ヶ月無職でいても、全く気にする必要はない。

 

目先の生活を間に合わせるためだけの職場で働くくらいなら、数ヶ月困窮してでも自分の本当に好きなことを見つけるための「積極的無職」でいよう。

 

すっかり不感症に陥った五感を痛快にリセットしよう。

 

その期間中は大いに人の助けを借りればいい。

 ありがたく受け取って、あとで忘れずに恩返しすればいい。

 

どんなに困窮しても、死にゃーせんから大丈夫。

 

28歳の時に全財産1900円だったぼくより。

 

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